Sion




三人のおかげでこうして静かで普通の生活ができている。




『湖季さんはこれで終わりですか?』




「残念ながらあと一種目でなきゃいけないんだ。今のところ3位以内には入ってるし、このままだとデート出来そうだな」




と、嬉しそうに湖季は笑う。
その姿を見て、希愛は尋ねずにいられなかった。




『湖季さんは…律花のこと、好きなんですよね?』




「そうだけど。って改めて聞かれると照れる」




湖季は恥ずかしそうに頬を掻く。




湖季なら…希愛が分からないこの気持ち、知っているかもしれない。
胸の奥にある、温かい想い。この正体を…。




『湖季さん…好きって…どういう気持ちなんですか…?』




希愛の胸の奥にある気持ちは湖季と同じものなのだろうか。
律花に対する恋の気持ちと同じなのだろうか。




もし、同じなら…
那由汰のことを想っているということなのだろうか。




考えれば考えるほど分からない。
だけど、この気持ちを知りたい思いがある。




知ってしまえば…戻れなくなる。
いつもどおりは居られないかもしれない。




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