Sion




那由汰のことだって大好きで大切
それは律花たちと変わらない。




だけど…どこか違う。
大好きで大切なのに…
律花や湖季の時と何かが違うのだ。




湖季はフッと笑う。




「俺もね、那由汰のこと親友として好きだし、花澤さんも友達として好きだよ。だけど…巴さんはそれとは違うんだ。
友達じゃなくて…友達以上になりたいっていう想いがあるんだ」




友達以上になりたい…
那由汰に対して、希愛自身もそう思っているのだろうか。
希愛はよくわからなかった。




複雑な顔を見せる希愛に湖季はやんわりと続ける。




「巴さんといると胸の奥が温かい。もっと知りたいって思うし、傍にいたいって願う。それが『恋』だと俺は思ってる。
花澤さんは…そう思わない?」




確かに那由汰といると胸の奥が温かい。
そばにいると安心するし、もっと知りたいと思う。




でも、それは…
湖季が言う『恋』というものなのだろうか。




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