蒲公英



唯一…


あれは『パパ』だったのだろうか…。



背が高くて髪の毛がオレンジ色だった男の人に肩車をしてもらったのを


かすかに覚えている。


オレンジ色の髪をぐしゃぐしゃにしながら、いつもは遠い空を少し近くに感じながら



聞いてたんだ。


「真弥、いい景色だろ」


とどこか嬉しそうに喋る誰かの声を。




そこからの記憶はない。



もしかしたら、それが私の中で最も古い記憶なのかもしれない。
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