一目惚れ、恋い焦がれ
「今月もお疲れ~」
「かんぱーい!」

いつからかずっと続いているこのメンバー。
そして彼氏。

裕祐のいつもと変わらぬ優しい眼差しに気付かないフリをして、私はカルヴァドスの瓶に手を伸ばした。

「Bon Apptit!」
「お~かっこいいな!これからオレも使うわ、ボナペティ」
「つかって、りょうりをだすときにね」

少しアクセントの違う日本語も、フランス仕込みの笑顔も、その目線も、私だけに欲しくなる。

目が合ってしまうのは、私が見てるから。
目で追ってしまうのは…
私を見て欲しいから。

思い返せばきっと、この夜ここで裕祐と微笑み合ったのはほんの数える程だろう。

―悪い彼女だ。

この動悸はお酒のせいじゃない。
火照った頭でそれだけはハッキリと感じていた。
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