拾ってください!!《結婚しました!音々version》
「拾ってください!!」と、
油性のマジックペンで書かれた
ダンボールだけを残して、
私たちは帰る
二人の家に。
子猫を抱いて、
少し先を歩く八起さんの背中を追いながら、
もう一度さっきの場所を振り返った。
街灯にうっすら照らされて
箱の文字がまだかすかに読める。
「拾ってください!!」
私もあそこにいた。
あの夜、こんなふうに
八起さんに拾ってもらったんだ。
胸がきゅっと痛くなった。
「音々!どうした!!」
振り向くと優しい笑顔で
八起さんが手を振ってる。