拾ってください!!《結婚しました!音々version》
その日、

私たちは、お父様のお手紙に書かれていた、

お医者様に会うために、二人で病院に行くことにしていた。

大きな病院で、迷子になりそうだと思ったけれど、

八起さんは、院内案内図を片手に、

迷うことなく、真っ直ぐ駐車場から、

少し離れた場所にある精神科病棟をめざし、

スタスタスロープを歩いていた。

なんだか自分ばっかり何もできないみたいで、

情けない。


「八起さん。」


「ん?」


先を歩く八起さんの袖を掴む。


「あ、ああ、ごめん早く歩きすぎたか。」


そう言って私の手をきゅっと掴む。


その動きがあまりに自然で、

嬉しくって、頬が緩んでしまう。


「好きです。」


「な、何言ってんだよ。」


赤くなって、照れくさそうに視線をそらす仕草、

好きだなあ。




歩幅を合わせて、

手をつないで

並んで歩く。


こんなことが嬉しい。


恋してるってこういう事なんだ


「大好きです、八起さん。」


「お、お前なあさっきから何言ってんだよ。」


ふふ


だって言いたい。


言いたくって堪らない。


みんなに行って回りたい。


『この人は私の旦那様なんです。

 世界で一番大好きな人です。』








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