拾ってください!!《結婚しました!音々version》
「いいんですよ。
実際覚えていないのが普通です。
音々さん。手品を知っていますか?」
「ええ、マジックですね。」
「そうだよマジックは仕掛けがあものだよね?
その仕掛けを教えることを、種明かしというよね。」
「ああ、はい。」
「君が僕を覚えていない、
その種明かしを今からしようと思うんだけど、
いいかな?それにはちょっとだけ、
辛いことも思い出すことになるけど。
大丈夫かな?」
『辛いこと』
と言われてしまい、
突然不安になる。
今があまりにも幸せだから、
それを取り上げられるのは耐えられないと思った。
嫌ですと言ってしまったらどうなるんだろ?
「音々の好きなようでいいんだよ。」
八起さんは、まるで私の心を読んでいるかのように、
優しく声をかけてくれた。
そうだった、
そんなのだめ
これ以上、八起さんに我慢なんてさせてていいわけない。
怖い----
でもそれ以上に、
私を縛っているかもしれないものから
解放されたい。
多分それが、今私たち二人に
一番必要なことなのだから。
八起さん-----------
あなたがそばにいてくれるなら
私何にもいらないし、
怖くない。