恋獄 ~ 晩餐会 ~
花澄の前に置かれたあみだくじに、環と雪也がそれぞれ印をつける。
……かつてないほど真剣なその表情。
二人がつけ終わったところで、賢吾が素早くそれを回収した。
「はい、ありがと~。これは今日の最後のお楽しみで開けることにするから。楽しみにしてて?」
楽しみにしてて、って……。
花澄はあんぐりと口を開けた。
どうやら自分の運命は既に決まってしまったらしい。
『選べない』トラウマを克服すべくずっと頑張って来たのに……。
まさか、あみだくじで全てが決まってしまうとは……。
もはや『選ぶ』『選ばない』の問題ではない。
それを超越した次元で話は転がろうとしている。
と、そのとき。
突然、窓から突風が吹きこんできた。
あっと驚く皆の前で、あみだくじが風に攫われて窓の外へと飛んでいく。
それはひらひらと空高く舞い、木々の向こうへと消えていった。