野良猫の飼い馴らし方。

そう思ったあたしは、うつむいたまま旧保健室を出ようと5人の間をすり抜ける。

…そのときだった。

「ちょっと待った。」

ガシッと、腕を捕まれる。

慌てて振り替えると、張り付けたような笑みを浮かべる人物が目に入った。

嫌な、予感…。

「僕、鼻がいいんだ。君、昨日の子と同じ匂いがするね?」

笑顔で落とされた爆弾は、的確に、あたしの核に命中。

…確かに、メイクで顔は変えられても、香水までは変えられない。

こんなことに、気付かれるなんて思ってもみなかった。

これは、やっぱり…

「知りませんっ!」

―逃げるが勝ちだと思う。

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