野良猫の飼い馴らし方。

しかしそんなことより。

驚いたのは彼らが全員2年生ということ。

こうなると、やはり不本意ながら、あたしも黙るわけにはいかない。

ついに、あたしも自己紹介をすることになった。

「…1年生の、鈴原です。」

名前を言おうか迷った結果、言わなかった。

誰にも必要とされていないこんな名前を、あたしは呼ばれたくない。

だけど、あたしに向けられる視線が、下の名前を教えろと言っている。…気がする。

「…未衣、です。」

口にするのもおぞましい、あたしの名前。

それを告げたとたんに、なんだか視界が大きく揺れた。

…"キモチワルイ"。

意識を失う直前に、真っ白な頭の中に響いたその声は。

記憶か、現実か。

こんなあたしには、分からなかった。

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