野良猫の飼い馴らし方。
**誠哉side
驚くとか…
そんな次元のものじゃなかった。
『…未衣、です。』
か弱くそう呟かれた言葉は、まるで猫の鳴き声。
フラッと倒れる様は、すごくしなやかで。
誰もが、一瞬時を止めた。
しかし、次の瞬間呟かれた言葉に、みんなの意識が戻る。
「…ごめん、なさい…」
…名前を言うのを躊躇い、俺たちに怯え、野良猫になっているこいつ。
誰がどう見たって、普通じゃなかった。
「…とりあえず、ベッドに寝かせよう。」
明の声に反応したのは、俺。
その小さな"野良猫"を抱き上げた。