野良猫の飼い馴らし方。
3.野良猫を気に入る
…昨日。
気が付けば辺りは真っ暗で、まわりには誰もいなかった。
まぁ、あんなのをみたら誰だって逃げたくもなるか。
ベッドにおいてもらえただけ、ありがたいとしよう。
お礼を言えないのは残念だけど、もう、彼らに会うことはないはずだ。
…いや。
絶対に会わない。
今度ばかりは、本気を出す。
…そんな風に思っていたのに。
―やっぱり、あたしの意志が弱いのが原因なんだろうか。
「おい。」
突然注がれた低い声は、昨日きいたもの。
わざわざ屋上に逃げてきていたあたしは、聞こえなかったふりをして目を閉じた。
「寝てるの~?」
「誠哉、起こす?」