野良猫の飼い馴らし方。
「…震えんな。」
そして優しく呟くと、そっとあたしの方へ手を伸ばし、髪を撫でた。
また触れられた瞬間にビクリと肩があがったが、彼はそれに、表情ひとつ変えない。
"冷たい"
その無表情から読み取れるのは、ただ、それだけ。
…でも。
あたしに触れるその手は、とても暖かくて優しかった。
「うっわ。誠哉の顔が…」
「めちゃくちゃ甘~いっ!」
向こうでそんな話が聞こえる。
この顔が…甘いんだ?
不思議に思って視線を交わらせてみるも、2秒が限界のあたしには到底見極められるはずもない。
そして、そんなあたしに彼は、信じられない言葉を吐きだした。
「お前、俺らに飼われろ。」
…え?