野良猫の飼い馴らし方。
遊里がノリよく手をヒラヒラと降れば、仁は呆れたように溜息。
「…泣かないなら、拒否はしない。」
めんどくさそうに賛成票を投じたせいで、民主主義な俺たちの答えは決まった。
「…僕は知らな~い」
拗ねてしまった杏は、少し離れてフェンス際で携帯をいじりだす。
「こら、杏。」
いつもみたいに俺が声をかけるが、余程気に入らなかったのか睨まれた。
…そもそも。
俺たちのなかの"答え"なんかより、彼女の答えが重要なんじゃないか?
いかにも"男性恐怖症"なあの子を飼い馴らすなんて、至難の業だと思うけど。
…みんな、そのこと分かってるのかな?
…とくに、誠哉。
「なぁ、返事は?」