野良猫の飼い馴らし方。
気づけば誠哉は、再び彼女に"答え"を投げつけていた。
…震えてはないから、少しだけ安心したものの。
「誠哉、ストップストップ。」
俺は誠哉の肩を引いて、彼女から距離をとらせた。
その意味がわからなくて俺を睨むこいつの抑え方は、誰も知らない。
「…誠哉。急展開すぎてあの子ついてきてないよ?」
「…。」
「みんなも。俺たちのこと押しつけずに、この子の話聞かなきゃ。」
そう言って彼女の方へ向くと、言葉につまった。
…近くで見て感じる、この子の"魅力"。
この俺が、惹かれそうになる。
そして、みんなが気に止める意味が、なんとなく分かった。
「…やっぱり、飼おっか。」
ごく自然に呟かれたその言葉。
多分、それがこの子にとって、最善の道なんだと、俺は素直にそう思った。