野良猫の飼い馴らし方。
予想もしていなかった言葉に、あたしは体を震わせた。
"君を"ってことは、別の誰かを殴る気でいたんだろうか…?
深く考えたくもないその言葉を頭から追い出すために、かたく目をつぶる。
すると、そんなあたしの必死さが可笑しかったのか、先輩は意地悪く喉を鳴らした。
「クククッ…ま、俺は先行く。」
通りすぎるときにクシャリと頭を撫でられ、プチパニックを起こしたあたしは目を見開く。
一体、何がしたかったんだろう…
本当、変な人だ。
消えてしまった島田先輩の気配を思いながら、そんな風に思った。