野良猫の飼い馴らし方。

予想もしていなかった言葉に、あたしは体を震わせた。

"君を"ってことは、別の誰かを殴る気でいたんだろうか…?

深く考えたくもないその言葉を頭から追い出すために、かたく目をつぶる。

すると、そんなあたしの必死さが可笑しかったのか、先輩は意地悪く喉を鳴らした。

「クククッ…ま、俺は先行く。」

通りすぎるときにクシャリと頭を撫でられ、プチパニックを起こしたあたしは目を見開く。

一体、何がしたかったんだろう…

本当、変な人だ。

消えてしまった島田先輩の気配を思いながら、そんな風に思った。

< 48 / 59 >

この作品をシェア

pagetop