野良猫の飼い馴らし方。
そして見えなくなった彼を除く4人が、口を揃えて言う。
"機嫌が悪かった"と。
突然殴るぞ発言をしたあの感じが、機嫌が良いを表すんだとしたら…
そこまで考えて頭を振ると、桐谷先輩の陽気な声が耳に届く。
「仁はね~?人嫌いだからさぁ。機嫌悪いと笑顔で―」
「聞かなくていい。」
ふっと、前触れなしに強く抱きしめられた。
それはきっと、桐谷先輩の言葉を遮るためのものだったんだろうけど。
すでにいつもの倍速で動いていた心臓が、さらに速く動きだした。
…もしかして、確信犯?
微かにそんなことも思ってみたが…
「野良猫、次喋ったら落とす。」
―この言葉を聞いて、ただの短気だと知った。