野良猫の飼い馴らし方。
「―…どしたの、ノラネコちゃん。」
「まだ誠哉の"お黙り"守ってんじゃない?」
羽村先輩と春野先輩の話し声を聞きながら、あたしは降ろされたソファの上で小さくなっていた。
…そりゃあ確かに、口を開くなと言われたから。
だから仕方なく、黙って抱き上げられたまま我慢してた。
でも。
こんな広くて立派なマンションに連れ込まれるなんて、思ってもみないじゃん!
ほんと、固まるしかない。
「…君さ。」
「きゃっ…わぁぁぁ!」
突然真横から聞こえた声に驚いて、体を動かした拍子にソファから落ちてしまった。
「クククッ…反応しすぎでしょ。」
楽しそうに喉を鳴らしているのは、いわずもがな島田先輩。