野良猫の飼い馴らし方。
すっごく笑顔なんだけど…まだ不機嫌なのかな?
「何、その顔。」
「へっ…?」
グイッと近付けられた顔に驚くまもなかった。
「…超、虐めたくなる。」
その言葉とともに、何の前触れもなく合わせられたおでこ。
火傷したみたいに、熱くなる。
「うっわ、真っ赤じゃん顔。」
「仁いじめすぎたよぉ~」
おもしろがるように響く声が、余計にあたしの体温をあげた。
うっすらと涙の膜が張り始めたとき…
「仁」
―ただ、一言。
島田先輩の名前があたしの耳に届くと同時に、体温が離れた。
そうしてあたしは、間髪入れずに膝を抱え蹲る。
「意地悪しすぎた?わりぃわりぃ。」