野良猫の飼い馴らし方。

そんな軽い音が聞こえた気がしたけど、知らないふりをした。

もう、何も見たくなかったから。

"ご飯"とか"準備"とか…
話し掛けられてるのにも気付いていたけど、あたしは動かなかった。





―…しばらくして。

ふと顔を上げれば、そこは真っ暗闇だった。

いつの間にか寝ていたのだろうか?

5人組はいない。

多分、食事に出たんだ。

うまく頭が動いていないまま、あたしは立ち上がって歩きだした。

鞄も持たず、自分の格好も気にせず、とりあえず部屋から出る。

シンと静まり返っていたそこは、どうやらエレベーターの真正面。

あたしはそれで、すぐ1階まで降りた。

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