野良猫の飼い馴らし方。
**遊里side
「いねぇ。」
…せっかく楽しい夕食だったのに。
帰ってきてみれば、野良猫がいなくなっていた。
鞄は置いたまま。
ついでに言えば、玄関のローファーもそのまま。
「鍵開けっ放しとか物騒な猫だな…」
「仁、それは仕方ないと思うよぉ~。」
さも他人事のように会話を繰り広げる2人を置いて。
なんとも言えない表情をしている誠哉の方を向いた。
「…さて。どうする?」
いつものように冷えた笑みで明が言葉を投げれば、大きな溜息が響く。
「とりあえず。捕まえて首輪繋げる。」
その言葉に、一瞬空気が冷えた。
けど、こんなときこそ俺の出番。
「首輪買ってこよーっと。」