メインクーンはじゃがいもですか?

 それでもアタッシュケースに詰められている勇気の印を受け取ると、修はお洒落な仕草で霧吹よりも先に部屋を出た。

 霧吹は今しばらく部屋でじっとしていた。

「若」

 気にした次郎が声をかけたが本人は知らぬ顔だ。

「おう、行くか」

 霧吹はようやく席を立ち、修の後を追うように外へ出た。

 さっきまで葵がいたところに、その姿は無く、ついでに修の姿もなかった。

 霧吹は眉間に皺を寄せ、入り口前で立ってる若い奴らに声をかけた。

「おい、ここにいた女はどうした?」

「ボスと一緒にこちらに」

 修の舎弟の一人が手を差しだし、隣の部屋へ案内する。

 ホッとする霧吹と次郎はその舎弟に続き、隣の部屋へと靴を鳴らした。



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