メインクーンはじゃがいもですか?
三丁目の『あなた野病院』は夜になると開く病院でもある。
しかし今日に限っては早朝から開けていた。
眠そうな目をこすって病院の中にある人物を迎え入れたヤブ医者の『あなたの』は、三郎をそこらへんに待たせ、まず先に渡された現金を数えていた。
もちろんカードなんか使えるわけもなく、ニコニコ現金払い一本が基本だ。
パイプ椅子に座ったあなたのは、金庫の中にある札束から、バラのものを出し、必要な分だけ自分の財布のマネークリップにストックする。
「三郎君、これがその葵ちゃんの部屋に残されたというメモかね?」
あなたのは一通り金をストックすると、慎重に金庫のカギをダイヤルした。
葵の家からなぜかあなたの病院に向かった三郎は、今までにあった一連のことをあなたのにいくぶん端折って話した。
『例の男が残したメモをあなたのさんに鑑定してもらえ』と霧吹からの命令により、今ここにいるわけだ。
あなたのはその手のプロでもあり、その手のあれこれでぶち込まれた経験もあるその道のプロフェッショナルだ。
そのあなたのの手には手術用の手袋がはめられ、バーコードヘアーの広いおでこには歯医者さんがつけているような特殊なライトが装着されていた。