メインクーンはじゃがいもですか?
あなたのネットワークはとんでもなく広い。
全国のヤクザ屋さんの指紋があなたのコンピューターに登録されていると言っても過言ではない程、膨大な量のデータが入っている。
検索エンジンもびっくりの情報網は、どこで仕入れてくるのか不思議で仕方ない。
「カメラはありましたか?」
あなたのは思い出したように三郎に聞いた。
「玄関に一つ、これです。これを探し出せと若に言われましてようやく見つけましたわ」
三郎はあなたのに『それ』を渡す。
「あぁ、これはやはり素人ですね。秋葉原で買えるたいしたことのないやっすい代物です。三郎さんを挑発した相手はきっと何があっても腕っぷしには自信があったんじゃあないですかねえ。それか刃物の一つも持ってたとか。だからこんなことしたんじゃないでしょうかねえ」
「くされガキが。刃物でびびる俺じゃねえ」
「ははは、そうでしょうそうでしょう、三郎さんは銃刀法違反でぶちこまれていなさったんですからねえ」
「それは言わんでくださいよ」
ガーゼのハンカチで頭の汗を拭う。
「さ、そういうことで。犯人はやはり葵さんのご学友じゃあないでしょうかねえ。こっち側のものだったら面白いことになると思っんですが、残念です」
そう言うと、自分の仕事は終わったとばかりにパイプ椅子からよっこらせと立ち上がった。
目で『帰りなさいよ』と言い、それに気付く三郎は速やかにその場を後にした。
素人の仕業ということは余計に誰だか分からなくなる。
家にカメラを仕込む程のもんだから、きっとこっちの界隈の仕業だと考えた霧吹ご一行だが、それはことごとく崩れ去った。
やはり、葵のご学友の一人が単独でやっていることに変わりはないとしっかりきっかり確認した霧吹ご一行は、いや、霧吹は、総額五千万の為に焦点を絞る算段に出た。これからさらに一千万増やしてやろうというよこしまな気持ちも忘れてはいなかった。
金にがめつい霧吹は、頂いた五千万は全て自分で使い切ってやろうと考えている。
舎弟の類もそんなことは百も承知なので、分け前があるとは思ってもいないが、よくもまぁこんな適当男に着いて行く気になるものだ。
と、あなたのがうっすら感じていることは内緒の方向で話は進む。