メインクーンはじゃがいもですか?
「じゃーーーー、」
葵は霧吹の手を取ってしっかりと両手で包み込んだ。
「私と付き合いましょうよ!」
叫びながら告白した葵の声に運転席で聞いていた次郎がびっくりして急ブレーキをかけた。
その拍子に葵が霧吹の懐へ飛ばされる。霧吹はなんとか踏ん張り、
葵を支え、運転席に素敵すぎて見たくない眼光を向けた。
「おいこるぁ!」
「すいません!」
頭を下げる次郎は即座に車を滑らかに発進させた。
「大丈夫か」
霧吹は自分の懐で小さくなる葵に声をかけた。
「大丈夫です! そんなことより飲みが足りませんね!」
酔っ払って既にへべれけに出来上がっている葵は先ほど自分が言った言葉を忘れ、
ソファーに転がったグラスを霧吹に差し出し、「飲みましょう」と煽った。
こいつに酒を飲ませるとろくな事が起きないと悟った霧吹は、分からないようにジンジャーエールを飲ませることにした。
そんなジュースを酒だと勘違いしてグビグビ飲みまくる葵に、こいつはもしかしたら飲ませてはいけない人の類に入るのかも知れない。
と、うっすらと感じ、密かに酒を隠した。