メインクーンはじゃがいもですか?

「よし分かった。その話に乗ろうじゃねえか」

 霧吹将権は至極適当に答えた。

「将権、君の性格はすっごい良く知ってるって分かってる? 子供のころから知ってるんだよ。もっとこう、違うバリエーションないの?」

 先を読んでいる修は霧吹に意地悪な視線を向ける。今霧吹が言ったことばを百パーセント信用していないことがひしひしと伝わってくる。

「そうだなあ、まずは葵……」

「ちょっと待て! 先に言っとくが、クソくだらねーことを言いやがったらいくらおまえでも容赦しねえからな」

「僕がそんなこと言うわけないじゃない」

「いや、おまえが過去にやってきたことをまとめるとそんなところに着地する」

「あれ」

 既に修の中では葵は『あれ』呼ばわりだ。

「あれを?」霧吹が繰り返した。

 霧吹の耳元で囁く修は、勝ち誇っていた。

「あれは将権のことが好きになってるだろう? でも結局さ、うまくはいかないじゃん。ほら、いろいろあるでしょ。だからさあ、うまーく遊んでさー、泣かせるくらいの振り方してみてよー」

「おまえのその頭は土でできてるのか? ただの思い付きでしゃべんのやめろ。おまえそのうち痛い目みるぞそんなんじゃよ。で、そんな真似できねえよ」

「それができなかったらー、三千万は僕に入るってわけだよねー。ふふん」

 えへらえへらとにたつく顔はあまり上品ではない。

「待て待て待て、なんでそこまで知ってんだよ」

「当然だよ。犬山さんのことはこっちにも筒抜け」

 ほんとに抜け目のない奴だ。金のことまで嗅ぎつけるとは、さすがのハイエナも顔負けだ。



< 128 / 226 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop