メインクーンはじゃがいもですか?
「でもさ、ほら、僕もこっちにいる時間がたくさんあるわけじゃないからさ」
「ああ、マカオのカジノの件か?」
「将権の頭には酒とギャンブルと女のことしかないね」
「それが男ってもんだろぉが」
男の定義をそこに持って来ちゃうあたり、誠に遺憾なことだ。
「コロンビアでね、白い(放送禁止用語)の取引があるんだよ。それに行かなければならない」
あぁ、そうだった。
このコロンビア野郎はコロンビアとの取引をここ何年か独占してずっとしていて、日本人では修以外はそのパイプが取れないことでも有名な話として霧吹の耳にも流れてきていた。
そんなことを、今更思い出した。
「とっとと飛んじまえよおまえは」
「そうは行かないよ。目の前にこんなに面白いことがあるんだよ。久しぶりに短期間でいろんな喜怒哀楽を全て見られそうだっていうのにこれを逃すバカはいないよね。見届けたら行くよ。その前に君がまた『箱入り』にならないともわからないしね」
「クソ野郎が、いつも一言余計なんだよ」
霧吹は修を睨み、特大の舌打ちをかますと座敷へと入って行った。
修は携帯を出し、どこかへ連絡した。
犬山のおやっさんはどういうわけか修には三千万と言っていたのには意味があり、彼の頭の中では霧吹よりも修の方が先に犯人を見つけるだろうと目星をつけたからだ。
そもそもこの話もちょっとずつ漏れに漏れて修の耳に届いたわけである。
そのうちに金が絡んでいることも嗅ぎつけると感じた犬山はもちろんのこと霧吹の性格もよく知っていた。
自分の方が受け取る金額が多いと思えば例え修に持ってかれたとしても、俺の方が二千万多かった。と、負けて勝つだろうと予測をしていた。
そんな戦法にまんまと引っかかった霧吹はまだまだケツの青いお子様だ。