メインクーンはじゃがいもですか?

 気付くと目の前に次郎の顔。

 次郎は葵を睨み、難しい顔をしている。なんでそんな顔をしているのか葵は不思議でたまらなかった。

 自分が米俵のように担がれているのが分かったのは、白いものがちらちらと視界に入ったからだ。

 霧吹のお下品な白いスーツの背中部分が目に入る。

 恐る恐る右を向くと、

 霧吹の後頭部辺りが斜め後ろに見えていて、視線を下に向ければ店の赤い絨毯張りの廊下が目に入った。

「……なななななな何してるんですか霧吹さん! 下ろしてくださいよ! ちょっとほんと」

 おしりらへんがすーすーするのを感じ、おしりを隠そうと手を後ろに回、

 ペシン!!!

 ケツを叩かれた感触に、おケツの肉がふわふわっと揺れた。

「うるせー! この小童(こわっぱ)が!」

 こわっぱ???

 ペシン!!! ペシン!!!

 今度は2回ほどケツを叩かれた。ふわふわふわふわっとおケツの肉が揺れた。それを楽しむ霧吹の口元はおかしそうに緩んでいた。

 「ちょ!!!!」

 真っ赤になり涙目になる葵は、次郎に訴えるが、次郎は目を細めて首を横に振り助け船は出してくれなかった。

 右手に持っているビール瓶を葵の前に突きだし、再度首を振る。

 葵はうっすらと、次郎にクダを撒いていた自分を、本当にうっすらとだが思い出す事に成功した。刹那、自分の行為を恥じて更に熟れたトマトのように真っ赤になった。



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