メインクーンはじゃがいもですか?

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「そんで、あいつはちゃんと連れこんでくれたんだろうね?」

「はい、仰せの通りに」

「いいね。じゃ今から行くから待っててくれる」

 要件のみの電話を切った修はすぐそこに将修がいることに気付いた。

「なんだ親父かよ。びっくりさせんなよ、おばけかと思ったじゃない」胸を撫で下ろす。

「おばけか。外見からは思いもよらない単語がでたもんだなあ修。おまえは物腰だけは柔らかくていい。かわいいかわいい」

「かわいいって言うんじゃねえよ」

「で、うまくまとまりそうかね?」

 まっ黄色なスーツに向日葵柄のポケットチーフ。将修のそのセンスには、ピカソもびっくりだろう。

「僕が行ってんだから、今回も無事にこなすに決まってるじゃん」

「心強い心強い。でもあれだ、あのお嬢さんにはおまえ手出しは……」

「酒乱には興味ないから大丈夫だよ。でもほらあれだね、言いたくはないけどさ、将権がぶち込まれたのは半分は僕の責任でもあるから、ちゃんとあいつは片付けるよ。あ、これ、将権には言わないでね。調子に乗るだけだからさ」

「わかっとる。で、あのマッチョ君だけど、柔らかめミディアムで処理しんしゃいや」

「うん、そうだね。ほんとはもっと面白いものに使いたかったけど、そんな時間もないし。あいつの行き着くところはもう決めてあるよ。将権が知ったらきっと悔しがるだろうけどね」

 にやりと笑う修は将修そっくりの顔をしていた。

「そうか。それじゃ、いい報告を待ってるとするか。いいか、あっちの仕事はしくじるんじゃねえぞ」

「任せといてよ」

 妖艶な笑み、後、スマートに電話を懐から取り出すと、どこかへと電話をかけ始めた。




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