メインクーンはじゃがいもですか?

「ぼっちゃん、そろそろ到着するようです」

 修の運転手が電話片手に入り口のドアから声をかけた。

「お、もう来たの? よぉし! じゃ行くか。三郎、連れてきて」

「へい」

 三郎にこいつを連れてこいと命じると、三郎はコオロギを無理くり立たせ、強制的に歩かせた。

 が、足首をきゅっと絞められてるので、その歩みはペンギンのように遅い。ちんたら歩くコオロギにイラッとして担ごうとしたが、体育会系マッチョは重い。

 仕方なくそこら辺にあった荷物を運ぶ用の一輪車に乗っけて運ぶことにした。

 ぎゃーぎゃー騒ぐコオロギの頭を引っぱたいた時、三郎は少しだけ胸に鎮座するいらいらが収まった気がした。

 一輪車の中で揺れるコオロギも必至だ。
 ここで逃げなきゃ自分はどこかに売り飛ばされるということがうっすら理解できたのだろう。

 ドナドナになるのだけは避けたかった。

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