メインクーンはじゃがいもですか?
「これからコロンビアに発つからさ、その前に挨拶だけでもと思って。もしぶちこまれてなかったら会えるかなって思って来たんだけど、まだいるってことは捕まってないんだね」
「なんで俺が捕まんなきゃなんねーんだよ。そうなんのはおまえのほうだろ。これから違法なことしに行くってーのによ。で、なんだよ」
正統派な装いの修は、端から見たら真面目な好青年にしか見えない。外見だけは。
五千万(実際には三千万)をごっそり持って行かれたことに怒り心頭の霧吹は、今にも殴りかかりそうな勢いだったがそれを最近覚えた理性でなんとか食い止めていた。
「じゃ、修ちゃん元気でね。将権、葵のこと気を付けて送ってけよ。なんかやましいことはすんじゃねえぞ」
「しねーよ。っとにどいつもこいつもよ。俺をなんだと思ってんだよ」
「なんだと思ってるって、歩くほにゃららら」
「とっとと帰ってくださいよもう」
「はいよ、じゃあな」
犬山はさっと挨拶だけすると、外に待たせておいた車に乗り込んで家路へつく。
今日は霧吹邸の前にはゾロ目ナンバーの怖い車がてんこ盛りだ。
四郎も仕事のしがいがあって喜ばしいとばかりに監視の目を強めていた。
霧吹だけは頭の中から五千万が抜け出せず、マカオに出向いてにゃんにゃんするはずだったりにゅんにゅんしようとしていたことが出来なくなったもどかしさに胸が潰されそうだった。