メインクーンはじゃがいもですか?
自分が酒のおかげでオープンな性格になるということをうっすら自覚し始めた葵は、次郎が言った通り、この大胆な行動に出た自分に恥ずかしくなり、穴があったら入りたいと思うことになる。のは、しらふになって今までのことを思い返した時のことだ。ということを自覚するには、まだまだ経験が足りなかった。
霧吹はリビングのソファーにだらしなく背を預け、自分の心臓をカリカリしてくる苛ついた子猫を、肩で大きく呼吸をしてなんとかなだめる。
お疲れ様ですと後から入って来た次郎に、
「おい、あいつなんとかしろ。そろそろやばいぞ俺は」
と、自分の気持ちが爆発寸前なことを認識し、でも手を出すわけにはいかないというもどかしい葛藤と戦っていた。
「なんなんだあいつは」
霧吹が次郎に久しぶりにとまどいの顔を見せた。
「でも若、葵さんのことはねたのが若だって知ったら葵さんの気持ちも覚めるんじゃ……」
「俺じゃねぇだろうが、一回めはあのバカで二回めはおめーだろうが」
「確かにそーっすけど、葵さんって何気に考え込むタイプっぽいっすから、自分をはねた犯人絶対探すって言い切りますよ」
「面倒くせー女だなぁ」
頭をわしゃわしゃと掻く。