メインクーンはじゃがいもですか?
ははーん、と、上から目線で大きく頷く美紀子さんは、にったらにったらと笑みを讃え、その口からは、
野兎組長にも負けないくらいの二枚舌がべろんべろんと覗いている。
ように、見えて仕方ない。
「だからかぁ、ふーん、そうなのかー」
美紀子はテーブルの上に小振りで形の整ったおしりをプリンと乗っけ、これまた綺麗なお顔を葵の顔の前にデンと出した。
「ぶっさいくな顔ね」
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「ししししししし知ってますけど! そそそそそそんなはっきり言うことないじゃないですか!」
顔を覆って背もたれに避難した。
「あんたさ、将権とは上手く行かないって分かってんでしょ?」
「わかりません! んーたぶんなんとなくうまくいくと思ってます。でも、うまくいかないって思うのは、そんなのは不安からくるものですから!」
「ふん。優等生的解答。人生分かってない。テキスト通りだ」
「テキスト通りかもしれませんけどでも、それしかわかりません」
そんなのわからないし。どうなるかなんてやってみないと分からないもん。
ふーと小さめのため息をつき、
「赤パンツのママにも言われたと思うけどさ」
「はっ! なんでそれを」
「ママは私のママでもあるんだからなんでも筒抜けなのよ」
よく分からないけど、聞いたところでまた煙に巻かれるのが落ちだから聞かない。
目の前にいる綺麗な女性は優しく微笑んではいるけど、そのお口からはやっぱり二枚舌がベロリンってしてた。