メインクーンはじゃがいもですか?
「次郎さん、やっぱあれっすか。メインクーンっつーのは、じゃがいもなんすかね」
「ああ、間違いなくそうとしか考えられねーな」
「ってぇことは、若はそのうちじゃがいもになっちゃうんすかね……」
「バカ野郎! 縁起でもねーこと言うんじゃねー」
「でも」
「いや待て。若の背中の虎をメインクーンっつってたよな? てことはだ、葵さんはもしかしたら虎に名前をつけたのかもしれないぞ」
「はっ! さすがっす。次郎さんさすがっす。そうっすね。名前だったんすね」
「おお。よし、それじゃあこれから俺たちの間では若の背中のはメインクーンと呼ぶことにしよう」
「いーっすね。いーっすね。そうしましょう」
次郎と四朗は大きく頷いて、葵が元気になったら事の真相を聞き出すことにしようと、モニターに目を映したが、霧吹がぶっ壊したモニターには何も映っていなかった。
「メインクーンか。なんとも手強い敵が現れたぜ」
次郎は真っ黒いモニターの向こうにいるはずの葵に向かって静かに言う。
子供な大人は自分たちが叩き出したその答えが全く見当違いだということに気付くことは永遠になかった。
【完】