メインクーンはじゃがいもですか?

 とことん電話についていない。

 朝からかかってくる電話は理不尽なまでにむかつく電話ばっかりだ。生存確認だったり、嫌がらせだったり、朝から楽しくない気持ちになる。

 この野郎はいったいどこの誰なんだか、皆目検討のつかない葵は全神経を自分の周りに集中させた。

 教室の周りに危険人物気配探知のアンテナを伸ばしてみるが、そこに人危ないの気配は感じないように思えた。

 とりあえず、このストーカーの変態野郎は大学関係者ということだけは掴んだ。だって、ここにいるのを知っている。ってことは、どこかから私を見ているってことだ。と、葵は分析した。

 そしてこいつはたぶん同じように学生だ。

 しかも悪いことに、同じ講義をいくつか取っている可能性も否めなかった。

 でも、そんな学友なんて山ほどいるわけで、どこのどいつだかを見抜くには葵には難しすぎた。

 友達みんなを疑うなんてことはしたくない。

 自分以外のみんなにストーカーの恐れがあるなんて、考えただけでも気持ちが悪く、気分を滅入らす要素にしかならない。

 首を軽く振って、悪い考えを飛ばし、バッグを胸の前でぎゅっと掴み、全身に鳥肌を立てながら、足早に大学を後にした。

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