メインクーンはじゃがいもですか？

守りぬいたら3000万

【スナック赤パンツでの三千万の話と２回目の跳ね飛ばし】


　巣鴨地蔵通り商店街の裏手の裏手にある『スナック 赤パンツ』は、昔からひっそりとその存在をごく一部の人たちに主張していた。

　中を覗くと、ほの暗い夕刻から活動し始めるアッチやソッチ関係のプロばかりが心の癒しを求め、高い水を飲みに毎晩のようにふらりと集まってくる。

　一番奥にはおざなりのVIPルーム。

　その様相からは昭和のスナック程度にしか見えない。

　霧吹はインベーダーゲームが組み込まれている昔ながらの黒いテーブルにかじりついていた。

　その両脇には、眉が細くて茶髪、すだれ前髪の良く似合うおねえちゃんがぱつぱつのワンピースに身をねじ込み、霧吹に媚びを売っている真っ最中だ。

　次郎とその仲間達も端っこの方に申し訳なさ気に座り、態度のでかい霧吹を擁護していた。
　
　インベーダーゲームに夢中になる霧吹は、大人な子供で間違いない。

　そもそもこの平成の時代に、昭和の香りのぷんぷんするインベーダーゲームが置いてあるってーのも、おかしい話だが、そこは巣鴨だ。目を軽く閉じて首を振ろう。懐かしい昔気質の日本ってことで、片付けようではないか。

　古き良き伝統の残る店に入ったならば、それが礼儀ってもんでもある。

　たぶんきっとね。