メインクーンはじゃがいもですか?
葵は大学へ向かっていた。
例の電話の男は近日中に私の前に姿を現すと言った。
怖い。
どのくらい怖いかと言うと、富士急ハイランドの幽霊病棟に夕方になってから一人で入って前後に他のお客がいなくてしんみりしているくらい、怖い。
ん? どのくらいか分からないですって?
ググって。もしくは行ってみて。
そこで葵は叔父でもある犬山に話しをしたところ、強力にして最強でもあるボディーガードをつけてやると言ってくれた。
そのボディーガードに会うために、夜の大学へ行く途中だった。
なぜ夜の大学なのかは首を曲げるところだったが、なんの疑いも持たずに出向いた葵は、なんとも頭にひまわりが咲いているとしか言いようがないくらい、純粋だ。よく言えばだけれども。
時間に遅れそうになっていた葵は急いだ。
薄暗い道は怖いけど、街灯と時折通る車のライトに道を照らされ、視界はまずまず。
1本目の道を右折したところで腕時計を確認したら7時5分前。
「やばい、遅れちゃう」
焦った葵は走り出した。
時間に間に合わないということが一番許せない葵は、人を待たせることに申し訳なさを感じていた。
こんなところ何も通らないだろうと、『だろう走り』をした葵に神様はしっかりとバチを与える手はずを段取った。
小さい交差点をなんの確認も無しに突っ切ったところで、目の前がいきなり真っ白になった。