メインクーンはじゃがいもですか?

 ややしばらくすると今度は豪快に、打ち上げ花火のような爆発音を上げて襖が開かれた。

 そこには真っ白いスーツに黒いシャツを胸元まで開襟し、金のネックレスをじゃらじゃらとつけた男。

 のしのしと歩いてくるその顔には不気味な笑みが貼りつけてある。

 や……ヤク……?

「起きたのかよ」

 低くハスキーな声にびくりとする。

「立て」

 部屋の中にずかずか入ってくる顔だけはいい白いスーツの男。

 布団の中で硬直している葵の腕をひっつかみ、無理矢理立たせる。

「いたっ」

「そりゃ痛いだろうな、車にはねられたんだからな」

 わははははと当たり前のように笑う霧吹を、ピエロでも見るような目で見る葵。かたわらにたたずむ男はこくりと頷いた。

 立たせた葵を頭てっぺんからつまさきまで目で舐め回す。

「外傷はねーわな、やっぱあなたのさん腕はいいな。免許はねーけど」

 なんだか穏やかじゃない独り言を言う霧吹は、葵のワンピースの裾をがばっと持ち上げた。

 大学生が着用するようなものとは考えられないほどの、白いパンツが丸見えになった。

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