メインクーンはじゃがいもですか?

「ちょっと!」

 持ち上げられたワンピースを勢いよく自分の方へ引き戻す。

「バカじゃないの! 何してんのよ!」

「傷の確認だろうが」

「普通そんなことしない!」

「問題ねーよ。ガキのパンツに興味も用事もねーから安心しろ」

 綺麗な顔から毒を吐く。

「なっ、」

 葵はトマトのように顔が赤くなり、ワンピースの裾をぎゅっと掴み、持ち上げられないように身構えた。

「わ、若」

 後ろから静かに次郎が声をかけた。

「ん、おお、あぁそうか、あれだな、あー、これだ、それだよ。よし。今日からお前のことは俺が守ってやっから安心しろ」

 ひとつ頷く。

「は? あなたが」ボディーガード?

「だって若って言ってたし」

「葵、わ、わ、若者はいいねーって言いたかったってことだよ」

 どこからともなく、まるで野良犬のようにやってきた犬山がまずいとばかりに口を挟む。

 葵ににこやかな笑みを見せ、大丈夫だよ怖くないからねーという優しさを見せつけてみた。

「そーっすよ。若者はいいっすよね」次郎が便乗した。

 霧吹はにやにやしながら葵を観察する。
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