メインクーンはじゃがいもですか?
「俺はな、大学の助教授で、お前のボディーガードで、お前を助けた男だ」
「……叔父さん、この人が例のボディーガード?」
本当に? だって今って助教授って呼び方しないよ。
例のボディーガード?
その言葉を聞いて霧吹がきょとんとした顔で犬山を振り返り、犬山は霧吹に無言の圧力をかけ、有無を言わせないオーラを存分に発揮した。
「そそそそそうだよ。彼がボディーガードの霧吹君だ」
棒立ちのまま霧吹を凝視する葵の目には明らかに不信の色が伺える。その不信な色は葵が着ている変な色のワンピースと右に同じく。
「彼は今度臨時で入った大学の助教授だ。まぁ、アシスタントのようなものだな」
葵は更に不信の色を強めた。
こんなヤクザな人が本当にボディーガードなんだろうか?
しかも、こんな体で大学で教えることができるんだろうか。更に本来ならこういう人から守ってもらうために違う形のボディーガードを雇うんじゃないの?
そんな一抹の不安を覚える葵だが、紹介されたのがこれなら、仕方ない。と、さっくり納得する素直なところが彼女のいいところでもある。
「だから、葵が大学の時は彼も一緒に講義に加わるから、何も心配なく問題なく勉強すればいいぞ。変なのがきたら彼がぎゃふんと言わせてくれるから、ほんとになーんの心配もしなくていい」
犬山は『いい人』の目をして葵にだめ押しの安心を与えた。
『スナック 赤パンツ』での奇行行動はまかり間違っても見せられまい。
「だってこの人ヤク……」
「セイセイセイ。いやいやみなまで言うでない」霧吹が顔の前で手を振りながら割り込んだ。
「何回も言うが、俺は大学の助教授で、お前のボディーガードで、お前を助けた男だ」