メインクーンはじゃがいもですか?
「よし、ほんじゃ荷物を詰めろ」
「はい?」
「スーツケースあんだろ? 服やなんか、ひとまず必要なものを詰めろっつってんだよ」
「な、な、な、なんで荷物を」
「めんどくせーやろーだな」
「……すいません」
部屋の真ん中でポケットに両手を突っ込んだまま偉そうに命令する霧吹は、葵を上から見下ろしていた。
葵は腑に落ちないものがあるが、目の前にいる男が怖いので言われた通りに手際よくスーツケースに荷物を詰め込み始めた。
部屋の中をうろうろする霧吹に、使いたくない無駄な神経を使いながら、服や大学のモノを詰め込む。
「おっほほーい」
何語だか理解に苦しむ言語が耳に届き、
嫌な予感をぷんぷんと感じながら霧吹を捉えると、
葵のパンツを手に取って喜んでいた。
「ちょっと!!!!!」
ダッシュした葵は霧吹の手に握られた自分のパンツを奪取した。
「何してんですか!人の下着で!」
小さく丸め、後ろに隠す可愛い葵の姿に、霧吹の心に住み着き始めた子猫が、またもかりかりと心臓をくすぐり始めた。