メインクーンはじゃがいもですか?
野兎 修
【野兎修】
霧吹と野兎修は久しぶりの対面となった。
「久しぶりだな」
先に口を開いたのは霧吹だ。
「2年振りだろ。お前が箱入りする前に一度会った」
箱入りという言葉にむっとした霧吹だが、ここはひとまずスルーすることにした。
いくら仲が悪くなったとは言っても、そういうときにはしっかりお互いに顔を出すことをしていた。
よって、霧吹が別荘に収監されるその前に、修は挨拶におとずれていたわけだ。
喧嘩をしているとはいえ、やはり兄弟のように育ってきた二人だ、片割れがいなくなるのは寂しいのだろう。
しかし、お互いプライドの叩き合いで、一歩も譲らない姿勢を崩すことはなかった。
霧吹は修がやった行動の中で一つだけ許せないことがあった。それをずるずると長い蛇の尾のように何年も引きずり今に至る。謝っても許してくれない霧吹に対し、修も修で後に引けずに意固地になっていた。
「将権、外の女はお前の女なの?」
唐突に叩きつけてきた修の言葉に霧吹は明らかに機嫌を悪くした。
「それがお前になんか関係あんのかよ」
放った霧吹の言葉に、修は満足そうな笑顔になった。
「あのね、昔からそうなんだけどさ、将権は気に入った子のことになると無口になるって分かってる? あの時もそうだったし、年月経った今もそうなんだね」
「おめーもいちいち金玉の小せぇ野郎だなぁ。いつまでもそうやって昔のことをいまだに持ち出して、ねちねちとまぁ、女かおめーは。いい加減にしろ」
「はは、どっちのことだろうねそれ。その捨て台詞もそうだね。変わってない」
「修さん、話しを進めましょうや」
次郎がこの二人の水掛け論を収めるべく中に割って入った。