メインクーンはじゃがいもですか?
「次郎も大変だね。僕の方につけばよかったのに。いつまでも将権の下じゃ疲れるんじゃない?」
修は霧吹がカチンとくることを言って霧吹の態度の変わりっぷりを楽しもうとした。
そんな挑発にまんまとひっかかった霧吹をおもちゃのようにいじり倒してから仕事のことに話を戻すことにしようと企んでいたが、その前に、
「これで手打ちといこうや。これ以上出す気はねーぞ。さっさと片付けようぜ。そうすりゃ今後おまえとも会わずにすむ」
霧吹は次郎にアタッシュケースの中を見せろと合図し、次郎がそれに従う。
中身を確認した修は、ふんと鼻で笑った。
「いいよ」
思ってもいない答えに霧吹と次郎は視線を合わせた。
「こんな昔ながらの争いなんてそんな古くさいこと、僕には興味無いから。これからはもっとここを使ってやってかないとヤクザなんてすぐ潰れてくよ」
自分のこめかみをとんとんと叩き、綺麗な顔に綺麗な笑みを浮かべた。
「ま、ヤクザなんてなくならないけどね。手を変え品を変え残っていくことは間違いないけどさ、違う分野の開拓だってしなきゃいけないし、進化しなきゃいけない時期だよ」
「相変わらずごたごたと面倒くせーな」
「はは。わかった、将権に分かるように手っ取り早く言う」
いらっとした霧吹と、次郎、それに修と、
勇気の印を詰めたアタッシュケースの時間がしばし止まった。