メインクーンはじゃがいもですか?
同じ顔をしているのに一方はにこやかな笑顔、そしてもう一方は今にも飛びかかりそうなくらい恐ろしい獲物を捉えたチーターのような顔をしていた。
「分かったよ」
霧吹は灰皿じゃなく、大理石のテーブルに一服しかしていないタバコを押しつけた。
修はその一連の動作を笑顔のまま目だけで追う。
「それじゃあ、さっきの子……」
「奪ってみろよ」
潰したタバコをテーブルに放り投げた。
「え?」
修の顔から笑顔が消え、霧吹と同じくらい黒い顔に変わっていく。
「昔おまえがやったように、またお前が俺から奪え」
にやりと笑った霧吹の笑みは修にそっくりで、黒い顔をした修は霧吹にそっくりだ。
同じ穴のなんとかだなぁと、心の中で溜息をつく次郎は、何食わぬ顔をして二人の子供の喧嘩を見守ることしかできなかった。
これから先めんどくさいことにならないことをひしと願い、話しが変な方向に流れたがなんとか少しずつ先へ進んだこと、親父さんの気分もよくなるだろうと思うと次郎の心は少しだけあったかくもなった。