愛色と哀色の夜
「そう、それは素敵ですね」
麗菓さんは薄い笑みで答えるとまるで話を全て聞いていたように
「そういうことなら、わたし達も行かないといけないみたいですね」
「…そう、だね…。……ボク達も行かないと…」
ボクも麗菓さんに同調し、あくまでも従う意思を見せました。
「ははっ、話のわかる子は大好きだよ♪」
ルイ、というその人は軽く微笑み
「じゃあ、その段ボールを脱いで全身を見せて?」
この寒さの中、薄手のシャツしか着ていないボクは、しもやけが出来てしまいます。
「…わたしは構いませんが、………麗奈は薄手のシャツしか…」
「…別に、平気だよ」
麗菓さんは驚いたようにボクを見て、心配そうに小首を傾げました。
「大丈夫、平気だよ」
もう一度呟き、ボクは雨具にしていた段ボールを取ります。
「…お風呂とかは入れてないんだ。だから、汚いけどごめんね?」
「れ、麗奈…っ」
麗菓さんは驚いたように声を上げると、ボクの腕を掴んで、
「貴女、……傷だらけじゃない…っ…!」
彼女の掴んだ腕は、小さな擦り傷や切り傷だらけでした。