愛色と哀色の夜
古い傷の上に新しい傷があって、ボクの腕はまるで傷の集合体でした。
「…お風呂とかには入れてないから、どうしてもぶつぶつとかが出来ちゃうんだよね…」
服の裂け目から見える傷は、まだ血が出ているようです。
「…麗奈…」
麗菓さんは目を細めて悲しい顔になりました。
「ねぇ、寒いからもう段ボール着ていい?」
いつまでもその肌を見せる訳にはいかないので、ボクはルイさんに尋ねます。
「…麗奈ちゃん、君はお風呂に入れてないんだよね?」
するとルイさんはなにかを考えるようにボクに問いました。
「よし。…じゃあ最初はお風呂に行こう」
「…最初?」
ボクはそのルイさんの物言いに引っ掛かりを覚え、問いました。
「最初って…」
「じゃあ次は麗菓ちゃん」
ボクの問いを遮って、ルイさんは続けます。
「さぁ、段ボールを外して?」
「へっ!?…あ、はい…」
ボクの腕の傷を注視していた麗菓さんはいきなり話を降られてびっくりしたのでしょう、変な声をあげて
「…わ、わたしの全身は…」
言いながら麗菓さんは段ボールを脱ぎ、
「わたしは、親には内緒での外出なので上着を羽織っだけです」