愛色と哀色の夜
旅路
*****


「華になる」

最初わたしには、その言葉の意味が理解出来ませんでした。

「…華…とは…?」

言葉の意味が理解出来なかったわたしは、ルイさんに尋ねました。

「道端の花じゃないよね?…ねぇ、君は何者なの?なんでボク達の前に現れたの?」

わたしの言葉を遮り麗奈は矢継ぎ早に問うと、ちらっと私を見、

「ボクだけならいいよ。でも、麗菓さんを連れて行くのはだめ。」

麗奈は「華」の意味を理解したらしく、意思の強い、芯の通った声音で告げました。

「………あは、やだなぁ麗奈ちゃん。…今のはからかっただけだよ♪」

するとルイさんは悪戯っぽく笑い

「キミ達があまりにもかわいいから、ついからかいたくなったんだ。……気を悪くしたならごめんね?」

先程までの態度とは一変し、軽く告げるルイさんに麗奈は唖然としました。

「…はぁ…。………君、冗談のセンスないね。ボクが言える義理じゃないけど。」

呆れたまま麗奈は言うと、少し緩んだ表情で

「でも、いいよ。なんかキミって、最初は危険な臭いがしたけど今はしないもん」

そう告げる麗奈の横顔は、一種の親しさのようなものを感じました。

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