愛色と哀色の夜

「これはね」

頭を洗い終え、次いで体を洗おうとした時

「この液を使うの?」

既に小瓶を手に取っていた麗奈は、横から眺めたり上から覗いたりして、容器の中身を見ていました。

「そう。この液をこんな風にして、垢擦りに付けるんです」

見よう見まねで垢擦りにボディソープを付け、わたしの言葉を待つ麗奈。

「…次、どうするの?」

つぶらな瞳がわたしを捉え、思わずどきっとしました。

「…麗菓さん…?」

潤んだ茶色い瞳が不思議そうに此方を覗きます。わたしは我に返り、慌てて腕を洗い始めました。

「腕を洗ったら、次は体を洗うんですよ」

先に洗い終え、麗奈が洗い終わるのを待ちます。

「んー…」

背中を洗おうと苦戦する麗奈を見て、わたしは含み笑いをすると

「わたしが洗いますか?」

垢擦りを受け取り、麗奈の小さな背中を擦ります。

「痛くない?」

「…ちょっと、痛い…」

少し力を弱め、優しく擦り

「はい、終わりましたよ」

「ありがと…?」

いえ、わたしは軽く笑むと麗奈を連れ立ってお風呂へと向かいました。

< 23 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop