愛色と哀色の夜
「これはね」
頭を洗い終え、次いで体を洗おうとした時
「この液を使うの?」
既に小瓶を手に取っていた麗奈は、横から眺めたり上から覗いたりして、容器の中身を見ていました。
「そう。この液をこんな風にして、垢擦りに付けるんです」
見よう見まねで垢擦りにボディソープを付け、わたしの言葉を待つ麗奈。
「…次、どうするの?」
つぶらな瞳がわたしを捉え、思わずどきっとしました。
「…麗菓さん…?」
潤んだ茶色い瞳が不思議そうに此方を覗きます。わたしは我に返り、慌てて腕を洗い始めました。
「腕を洗ったら、次は体を洗うんですよ」
先に洗い終え、麗奈が洗い終わるのを待ちます。
「んー…」
背中を洗おうと苦戦する麗奈を見て、わたしは含み笑いをすると
「わたしが洗いますか?」
垢擦りを受け取り、麗奈の小さな背中を擦ります。
「痛くない?」
「…ちょっと、痛い…」
少し力を弱め、優しく擦り
「はい、終わりましたよ」
「ありがと…?」
いえ、わたしは軽く笑むと麗奈を連れ立ってお風呂へと向かいました。