愛色と哀色の夜
「…あったかい…」
一番大きいお風呂に入って、わたし達はくつろいでいました。
「すごいね…。ボク、こんなところ初めてきた…」
麗奈は肩まですっぽりと浸かり、気持ちよさそうに天井を見上げます。
「ひゃっ!?」
不意に、そんな声が響き声の方を見ると
「う、上から水が落ちてきたよ…?!」
「ふふ、それは湯気ですよ」
怯えたような麗奈を撫で、此方に引き寄せます。
「…麗奈…」
わたしが名前を呼ぶと、不思議そうに首を傾げ
「なぁに?麗菓さん…」
その愛らしい仕草にわたしは胸が締めつけられるような、そんな感じがしました。
「…こっちにおいで…?」
腕を引き、軽く抱き止めると彼女は擽ったそうに身を捩ります。わたしはその反応に更に胸が締め付けられ、首筋に口付けを落としました。
「…麗奈、貴女首筋に星形のほくろがあるんですね…?」
言われた麗奈は、初めて知ったように首筋に手を当てわたしが口付けした場処を撫でながら
「ほんと?…そうなんだ、知らなかった」
確かめるように、麗奈はほくろのある場処を何回も撫でます。
「貴女を育ててくれたおばあさんは、知らなかったのでしょうか…?」
「んー…、なんか、元々目が悪かったみたいで、正直あまりよく見えてなかったみたい」
わたしはその理由に納得し、再び首筋のほくろに口付けをしました。