愛色と哀色の夜
「行きますよ?」
服を着替え終えたわたしは、麗奈を待ってロビーへと向かいました。
「此処で待っててね?」
そう言い、わたしは牛乳を買いに自販機へと向かいます。すると麗奈が近くにきてわたしを覗き込みました。
「どうかしましたか?」
微笑み頭を撫でながら聞くと、麗奈は俯き
「…ひとりに、しないで…」
消え入りそうな声で呟くと強く抱き着いて来ます。
「…麗奈」
優しく抱き返し、ふたりで自販機へと向かいました。
「はい、麗奈の分ですよ」
頷き、瓶を受け取った麗奈は不思議そうに白色の液体を眺めています。
「これは…?」
牛乳です、包装されているビニールを剥がし内蓋を開け手渡すと、麗奈は何を思ったのか牛乳を手に付けようとしました。
「れ、麗奈!ストップ、ちょっと待って!!」
きょとんとした表情で此方を見る彼女に、わたしは慌てて制止を掛けます。
「え、こうやるんじゃないの…?」
困惑したような顔でわたしを見詰める麗奈。私は苦笑し、牛乳瓶を麗奈から受けとると一口飲みました。
「こうやって飲むんですよ」
麗奈は納得したように頷くと、わたしの真似をして一口飲みました。